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定番の演出
アニメ等の映像作品でよく使われる演出のうち、一般的な解釈をしやすいものをピックアップしてみました。
1. 雨
登場人物が困難に直面する、何らかの問題が発生するといったシーンでは、しばしば雨が降り出します。 雨はその人の心情やネガティブな状況の象徴です。 この意図で雨を降らせる場合、たいてい、問題解決後には晴れた空を描写します。
- 『デュラララ』[1]
第18話、3勢力の対立構造が明確になる場面で雨が降り出す。以降の話数では雨、曇天、夜のシーンが多く、青空は最終話まで登場しない。- 『xxxHOLiC◆継』[2]第5話「由縁コハネ」
- 中盤からずっと雨が降っている。この回では本質的に小羽の問題は解決していないため、晴天は描かれない。
- 『SLAM DUNK』[3](漫画)
- 山王戦、湘北高校は前半を2点リードで終えるが、後半早々逆転を許し、大差をつけられる。ここで雨が降り始めるシーンが挿入される。 試合終盤、湘北の追い上げが始まると雨は上がり、太陽が差し始める。
2. 背景の遮蔽物
登場人物の間に遮蔽物を描くことで、人物の間に立場的、心情的な断絶があることを暗示します。
- 『涼宮ハルヒの憂鬱』[4]第15話[5-7]
-
ループの真相が明らかになる夜のシーン。 ただ1人、1万5000回の繰り返しの記憶を抱えてきた長門だけが、他の3人と柱で区切られている。[5]
- 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』[8]第5話
京介はあやせを説得しようとするが、あやせは聞く耳をもたない。公園の遊具によって京介とあやせの間の隔たりが表現される。
事情を説明し、対話が成立した場面では、ふたりが同じ円の中に納まる構図に変化している。- 『凪のあすから』[9]第15話
-
光とちさきが出会う時、彼と彼女間には柱があり、映像的に分断されている。柱の分断が指し示すように、彼と彼女の間には壁がある(時の壁)。[10]
3. 食べ物の授受
食べ物を与え、それを受け入れる(食べる)という行為は、対立の解消・和解、関係性の進展(好転)を示す場面でよく描かれます。
- 『君に届け』[11]第4話
-
Aパート、学校の外のベンチでお弁当を食べている爽子のもとに、吉田と矢野がやってくる。三人は仲良く昼食を食べ、爽子のおかずを吉田が食べたり、矢野のおかずを爽子が食べたりする。 (中略) このおかずのやりとりは爽子と吉田達の融和の象徴であり、贈り・贈られたものを受容することによって(食べること・自分の中に入れること)、彼女たちの心は繋がり、互いの意思の疎通が十分に取れている。[12]
- 『魔法少女まどか☆マギカ』[13]第7話
さやかに対して歩み寄りを示した京子だったが、拒絶される(さやかはりんごを食べない)。- 『キルラキル』[14]第22話
これまで対立していた勢力が団結した場面。みんなでコロッケを食べる。
その他
その他定番の演出方法には「光と影」や「人物の進行方向」に関するものが思いつきますが、それらは別の機会に紹介しようと思います。
References and Notes
- 「デュラララ」 原作:成田良悟, 監督:大森貴弘, 制作:ブレインズ・ベース, 2010年
- 「xxxHOLiC◆継」 原作:CLAMP, 監督:水島努, 制作:Production I.G, 2008年
- 「SLAM DUNK」 井上雄彦, 集英社, 1990年
- 「涼宮ハルヒの憂鬱」 原作:谷川流, 監督: 石原立也, 制作: 京都アニメーション, 2009年
- 「エンドレスエイト」を演出家で楽しむ
- 在宅アニメ評論家 涼宮ハルヒの憂鬱 #16 エンドレスエイト, 在宅アニメ評論家 涼宮ハルヒの憂鬱 #15 エンドレスエイト
- 涼宮ハルヒの憂鬱 見えてきたエンドレスエイトの同期演出 - subculic
- 「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」 原作:伏見つかさ, 監督:神戸洋行, 制作:AIC Build, 2010年
- 「凪のあすから」 原作:Project-118, 監督:篠原俊哉, 制作:P.A.WORKS, 2013年
- 『凪のあすから』 5年後の世界について - あしもとに水色宇宙
- 「君に届け」 原作:椎名軽穂, 監督:鏑木ひろ, 制作:Production I.G, 2009年
- 君に届け 第2話「席替え」が面白い - あしもとに水色宇宙, 『君に届け』第4話が面白い〜表情の描写の有無〜 - あしもとに水色宇宙
- 「魔法少女まどか☆マギカ」 原作:Magica Quartet, 監督:新房昭之, 制作:シャフト, 2011年
- 「キルラキル」 原作:TRIGGER, 監督:今石洋之, 制作:TRIGGER, 2013年